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CHP政策

欧州における主なCHP政策

  主な政策・支援策 概 要
欧州連合
(EU)レベル

エネルギー効率化指令
(Energy Efficiency Directive)

  • EUの2020年省エネ目標20%達成を確実とするための域内におけるエネルギー効率化対策の共通な枠組みを構築(2012年11月施行)
  • 加盟国に対してCHP導入ポテンシャルの評価やコスト便益分析等の実施を義務づけ





CHP法

  • 温室効果ガス削減対策の主要施策の一つとしてCHPを位置づけ、発電電力量に占める高効率CHPからの電力量を2020年までに1,100億kWh、2025年までに1,200億kWhとすべくCHPを積極的に支援(2002年制定、2009年、2012年及び2016年改定)
  • 系統ネットワーク操業者に対してCHPプラントの系統連系を義務づけ、CHPからの電力に対し割増料金(ボーナス)を付与、冷暖房ネットワークの建設・延長や蓄熱設備の設置への補助を義務づけ

再生可能エネルギー熱法

  • 再生可能エネルギー割合を6.6%から2020年までに14%とするため、新築建物のオーナーに対して一定以上の再生可能エネルギー由来熱利用を義務づけ(2009年1月施行)
  • 一定以上のCHP排熱利用を再生可能エネルギー利用の代替手段として位置づけ

固定価格買取制度
(Feed-in Tariff)

  • 「Energy Act 2008(2008 年11月制定)」に基づき、5MW以下の太陽光、風力、水力、嫌気性消化ガス、化石燃料由来のμCHP(2kW以下)等からの電力に対しプレミアムを付与(2010年4月~)
  • 逆潮分には別途逆潮価格を加算。μCHPの買取期間は10年で、適用は累計30,000台まで

再生可能熱インセンティブ
(Renewable Heat Incentive)

  • 非家庭用部門での太陽熱、固形バイオマス、地中熱・水熱源・深部地熱ヒートポンプ、バイオメタン・バイオガス燃焼等の熱利用を対象として、20年間、「適用単価」×「利用熱量(計測)」に基づき、補助金を付与(2011年11月~)
  • 再生可能エネルギー利用CHPも本制度の適用対象

欧州連合「エネルギー効率化指令(EED)」における主なCHP関連条項

1.高効率CHP及び効率的なDHC導入ポテンシャルの包括的評価

  1. 加盟国に対し、2015年12月末までに高効率CHPと効率的なDHC導入ポテンシャルの包括的評価(Comprehensive Assessment)の実施(及びその5年ごとの更新)を義務づけ

2.国土をカバーするコスト便益分析

  1. 上記包括的評価の一環から、最も資源効率や費用効率の高い冷暖房ニーズ充足策を見出すため、加盟国に対して国土をカバーする費用便益分析(cost-benefit analysis)の実施を義務づけ
  2. 費用便益分析では、高効率CHP、効率的なDHC、効率的な個別冷暖房供給の3つのオプションを考慮

3.熱入力20MW以上の施設に関する費用便益分析

上記費用便益分析の結果、便益が費用を上回る高効率CHPや効率的なDHCの導入ポテンシャルが確認できた場合、以下の場合、熱入力20MW超の施設に関する費用便益分析を確実に行い、効率的なDHCインフラの開発、高効率CHPの開発、廃熱や再生可能エネルギー由来の冷暖房の利用のために適切な対策を実施することを義務づけ

  1. 熱入力20MW超の新規火力発電施設の計画時
  2. 熱入力20MW超の既存火力発電施設の大規模改修時
  3. 廃熱を有効温度レベルで製造する熱入力20MW超の産業用施設の計画あるいは大規模改修時
  4. 新規DHCネットワークの計画、既存DHCネットワークにおける熱入力20MW超の新規製造施設の計画あるいは大規模改修時

4.高効率CHPからの電力の取り扱い

  1. 系統電力の信頼性と安全の維持に関わる要件が確保される限り、高効率CHPからの電力に対して、送配電の保証、系統電力網への優先アクセスあるいはアクセス保証の提供、優先給電の提供を確実に行うよう義務づけ
  2. 高効率CHPからの電力への優先アスセスや優先給電の提供に当たり、再生可能エネルギー由来電力への優先アスセスや優先給電が阻害されないようにすることを義務づけ

(出典) http://eur-lex.europa.eu/JOHtml.do?uri=OJ:L:2012:315:SOM:EN:HTML

以上

<ドイツ_CHP法>ドイツ・CHP法に基づく具体的な支援内容

系統ネットワーク操業者に対し、新設、近代化(更新)、グレードアップ(改良)された高効率CHPからの電力に対する割増料金(ボーナス)付与、冷暖房ネットワークの建設・延長や蓄熱設備の設置への補助を義務づけ

1.高効率CHPからの電力に対する割増料金(ボーナス)

1)ボーナス付与対象

  • 逆潮分 及び100kW以下の自家消費分
    <既存施設(ガスCHP(2MW超)で一定要件を満たすもの)にも支給(1.5㌣€/kWh>
  • 気体、液体、バイオマス、廃棄物、廃熱を燃料利用する施設(新設石炭CHPは対象外)

2)ボーナス単価

  • 以下のとおり発電規模等による

高効率CHPからの電力に対する新旧ボーナス単価(㌣€/kWh)

発電容量 逆潮分 自家消費分
増減 増減
(2016/1~) (~2015/12) (2016/1~) (~2015/12)
50kW以下 8 5.41 2.59 4 5.41 ▲1.41

50kW超

100kW以下

6 4 2 3 4 ▲1.0

100kW

250kW以下

5 1 - ▲4.0

250kW超

2MW以下

4.4 2.4 2 - 2.4 ▲2.4
2MW超 3.1 1.8 1.3 - 1.8 ▲1.8

注1)電力コスト集約型産業については、自家消費分も対象とし、旧単価を適用

注2)温室効果ガス排出権取引対象施設の場合、ボーナス追加(+0.3㌣€/kWh)

注3)石炭から天然ガスへ代替の場合、ボーナス追加(+0.6㌣€/kWh)

注4)適用期間:
【新設】50kW以下:全負荷相当時間60,000時間まで、その他:同30,000時間まで
【更新】更新時期及びコストに応じ、全負荷相当時間15,000時間または30,000時間まで
【改良】改良コストに応じ、全負荷相当時間10,000時間、15,000時間または30,000時間まで

(出典)ドイツ連邦官報(Bundesanzeiger)掲載の法文等に基づき作成

2.冷暖房ネットワークの建設・延長、蓄熱設備の設置への補助

1)一定要件を満たす冷暖房ネットワークの建設・延長に対し、メーター当たり100€の補助金を支給(①直径10cm以下の導管の場合、初期投資額の40%まで、②直径10cm超の導管の場合、初期投資額の30%まで)

プロジェクト当たりの上限金額:2,000万€/件

2)一定の要件を満たす蓄熱施設の設置に対し、1㎥当たり250€を補助(50㎥を超える場合、初期投資額の30%まで)

プロジェクト当たりの上限金額:1,000万€(約13億円)/件

<ドイツ_再生可能エネルギー熱法> ドイツ・再生可能エネルギー熱法の概要

1.目的

  1. 持続可能なエネルギー供給の促進と再生可能エネルギー熱製造技術開発の推進
  2. 熱需要全体に占める再生可能エネルギーの割合の引き上げ
    (現状の6.6%から2020年までに14%に)

2.対象エネルギー

  1. 地熱、空気または水からの熱、太陽熱、バイオマス生来の熱(廃棄物、埋立地ガス、下水処理場、下水汚泥等)

3.導入義務者

  1. 新築建物(エネルギー利用場所の面積が50平方メートル以上)の所有者

4.導入義務量

  1. 太陽熱 - 熱エネルギー需要全体の15%以上
  2. 気体バイオマス - 同30%以上
  3. 液体/固体バイオマス、地熱、空気または水からの熱 - 同50%以上

(※上記の組み合わせも可)

5.代替手段

  1. EU指令における高効率CHPおよび地域熱ネットワークにより熱エネルギー需要の50%以上が供給されている場合等