フォレストエネジーは森林資源をエネルギー利用する木質バイオマス熱電併給事業の普及を進めている。町の面積の9割を占める山林を有する島根県津和野町において、フォレストエナジーが、発電事業者として津和野フォレストエナジーを設立し事業主体となり、津和野町が、貯木場、チップ製造設備、チップヤードを整備、地元林業者が集材含め運営する官民連携での地域共生の事業スキームを構築した。
地元の原木の木質チップを発電所に供給し、約1,000世帯分の電気を供給する地産地消の経済循環を構築した。コージェネの排熱はチップ乾燥に利用している。ガス化工程で生成される炭を土壌中やアスファルト・コンクリートに混ぜ炭素を固定化する最先端の取り組みを推進しており、カーボンネガティブ(カーボンマイナス)を実現した。
原動機等の種類 | ガスエンジン |
---|---|
定格発電出力・台数 | 45kW×12台 |
排熱利用用途 | 燃料用チップの乾燥 |
燃料 | 木質チップ |
逆潮流の有無 | 有り |
運用開始 | 2022年8月 |
一次エネルギー 削減率 ※ |
50.1% |
コージェネが供給できる電力・熱を商用系統から給電・熱源機から熱供給 した場合と比較した時のエネルギー削減率
津和野町は歴史の中で、たたら文化が長く続き、炭焼きが盛んに行われてきた結果、広葉樹の山が6割を占めている。木質バイオマスガス化熱電併給は、木を炭化させる工程の中で可燃性ガスを集めてエンジンを動かす仕組みとなっており、燃料として炭化に適している広葉樹を使用することにより、効率向上を図ることが可能となる。また、津和野町は、山を若返らせることで二酸化炭素吸収率を高めるために広葉樹の更新に対する助成制度を検討していた。
さらに津和野町は、森林資源を活用した再生可能エネルギーの可能性について検討を進めるため、2013年に「高津川流域木質バイオマス活用調査検討協議会」を立ち上げた。構成員は地元森林組合、地元素材生産事業者、森林管理署、県の林業担当者、津和野町で、島根県の補助金や内閣府の補助金等を活用しながら全国の先進プラントを視察した。しかし、日本のガス化発電は始まったばかりで、安定稼働したプラントに出会うことは無かった。
その後、フォレストエナジーとの協議を経てフィンランド製木質バイオマスガス化熱電併給設備Volter40を12基設置し出力540kW(送電端480kW)の熱電併給発電所の構想を立て事業計画のFIT認定を受けた。
先進的な取り組み
今後の展開