安藤ハザマは、2013年4月にそれぞれ100年以上の歴史を持つ間組と安藤建設が合併して誕生した総合建設会社である。2本の柱である土木事業(黒部ダム(富山県)など)と建築事業(東京ビックサイト(東京都)、ペトロナスツインタワー(マレーシア)など)において国内外の設計・施工を行ってきた。建設(土木・建築)事業のさらなる強化はもとより、建設以外の事業(エネルギー事業含む)への取り組みもさらに加速させ、新たな収益基盤の確立を進めている。
安藤ハザマ技術研究所は、1992年に旧間組の研究所として開設され、現時点で30年を迎える。本施設は、茨城県つくば市に位置し、7万平方メートルを超える広大な敷地に、本館、8つの実験棟、屋外実験場など19棟の建屋によって構成されている。水素利用可能なコージェネ(550kW、210kW)を採用、事業所A(自社技術研究所)に電力・熱融通し、さらに余剰電力分をオフサイトである離れた敷地にある複数事業所(事業所B(自社千葉工場)、事業所C(自社大型工事現場))へ自己託送による電力融通システムを構築した。事業所A、B、C全体のエネルギー使用量を統合・最適化し、広域事業所全体の一次エネルギー8.4%削減を実現。事業所Aを災害復旧対応の拠点としての機能を付加。同敷地にある研修宿泊施設を災害時帰宅困難者の受け入れ可能な施設とした。
原動機等の種類 | ガスエンジン、燃料電池 |
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定格発電出力・台数 | ガスエンジン550kW×1台 燃料電池210kW×1台 |
排熱利用用途 | 空調利用(暖房、吸着式冷凍機、デシカント空調機、給湯) |
燃料 | 都市ガス |
逆潮流の有無 | 有り |
運用開始 | 2020年4月 |
延床面積 | 22,747m² |
一次エネルギー 削減率 ※ |
8.4% |
コージェネが供給できる電力・熱を商用系統から給電・熱源機から熱供給 した場合と比較した時のエネルギー削減率
本プロジェクトにおいて新たな試みを志向する際、国のエネルギー政策など(2015年12月パリ協定、2018年7月第5次エネルギー基本計画、2017年12月水素基本戦略)を参考に検討を行った。
一方、事業所A(技術研究所)、事業所B(千葉工場)、事業所C(大型工事現場)におけるエネルギー需要について分析を行い、電力、熱利用について主体的かつ、実現可能な省CO₂化の方法について検討を行った。
本プロジェクトでは、上記の検討を行った結果、重点的に取り組むべき課題として以下を挙げた。
課題1.水素社会推進に向けた水素「利用」の取組
課題2.大災害など系統電力断絶時におけるレジリエンスなシステムの構築
課題3.再エネ電源普及に伴う旧一般電気事業者における調整力負担の改善
課題4.省エネ施策後のさらなる主体的な省CO₂化システムの構築
先進的な次世代エネルギープロジェクト
電気自己託送と熱の徹底利用
調整力の提供
地域貢献も含めた災害時対応