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「第5次エネルギー基本計画」策定に向けた意見を提出しました。

経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会が取りまとめた「第5次エネルギー基本計画(案)【PDFダウンロード】」が公開され、パブリックコメントを募集しておりました。
これに対し、コージェネ財団として6/15に以下の通り意見を提出しました。

意見書:「第5次エネルギー基本計画策定に向けた意見」

資源エネルギー庁長官官房総合政策課
パブリックコメントご担当様

[意見]

今般発表された第5次エネルギー基本計画(案)について、コージェネレーションを含む分散型エネルギーの意義を評価した内容に賛同する。
2030年においては、長期エネルギー需給見通しの実現に向け、現行のエネルギー基本計画の取り組みを強化する方針、2050年においては、あらゆる選択肢の可能性を追求する野心的な複線シナリオを描くなか、エネルギー転換の低炭素化・脱炭素化・分散化へ向け、ネットワークを含めた分散型エネルギーシステムの開発を主導していく方針が示されたことは、長期戦略の中でも分散型エネルギーの意義が評価されているものと受け止めている。
ついては、今後のエネルギー政策の着実な具現化へ向けて以下を提起する。

該当箇所

第1章 「第1節 我が国が抱える構造的問題」(P4以降)

意 見

第1章第1節(P4以降)の最後に、以下の文章を追加いただきたい。

「5.大規模自然災害の発生と被害の甚大化
我が国は、その国土の地理的・地形的・気象的な特性故に、数多くの災害に繰り返し苛まれてきた。そして、規模の大きな災害であればある程に、まさに「忘れた頃」に訪れ、その都度、多くの尊い人命を失い、莫大な経済的・社会的・文化的損失を被り続けてきた。しかし、災害は、それを迎え撃つ社会の在り方によって被害の状況が大きく異なる。大地震等の発生の度に甚大な被害を受け、その都度、長期間をかけて復旧・復興を図る、といった「事後対策」の繰り返しを避け、今一度、大規模自然災害等の様々な危機を直視して、平時から大規模自然災害等に対する備えを行うことが重要である。東日本大震災から得られた教訓を踏まえれば、大規模自然災害等への備えについて、予断を持たずに最悪の事態を念頭に置き、従来の狭い意味での「防災」の範囲を超えて、国土政策・産業政策も含めた総合的な対応を、いわば「国家百年の大計」の国づくりとして、千年の時をも見据えながら行っていくことが必要である。」

※文章は、「国土強靭化基本計画」(平成26年6月閣議決定)より抜粋

理 由

第4次エネルギー基本計画策定以降、新たに実施された国の政策でエネルギーにも関連するものとして、国土強靭化基本計画(平成26年6月閣議決定)があげられる。
これは、平成25年11月に公布・施行された国土強靭化基本法に基づき、「今すぐにでも発生し得る大規模自然災害等に備えて早急に事前防災及び減災に係る施策を進めるためには、大規模自然災害等に対する脆ぜい弱性を評価し、優先順位を定め、事前に的確な施策を実施して大規模自然災害等に強い国土及び地域を作るとともに、自らの生命及び生活を守ることができるよう地域住民の力を向上させることが必要である」(同法前文)として、策定されたものである。
エネルギー分野においても、東日本大震災では、東京電力福島第一原子力発電所で大きな事故を経験したが、それ以外にも、インフラの寸断や供給停止などによる、エネルギーに係る様々な二次被害が発生した。このことは、エネルギー基本計画策定においても、「我が国が抱える構造的課題」として踏まえておくべき内容であり、また、各政策の整合性を図る上でも、記載いただきたい。

該当箇所

「③産業部門等における省エネルギーの加速」(P35)
・・・省エネ法において、事業者間連携による省エネの適切な評価ができるよう制度の整備を進める。

意 見

該当箇所の後に、以下の文章を追加いただきたい。

「その一環として、熱の効率的利用の促進に寄与するよう、事業者間で融通した未利用熱を評価する制度を活用していく。」

理 由

本文中「2.徹底した省エネルギー社会の実現」(P32)、「(1)各部門における省エネルギーの強化」(P33)において、省エネルギー政策について記述されているが、ここに記載されている内容以外にも、第4次エネルギー基本計画以降、省エネ法において新たに「未利用熱活用制度」が創設され、未利用エネルギーの活用が省エネルギーの取組みとして評価されている。
本文(第5次エネルギー基本計画(案))においても「我が国の最終エネルギー消費の現状においては、熱利用を中心とした非電力での用途が過半数を占めている。
したがって、エネルギー利用効率を高めるためには、熱をより効率的に利用することが重要であり、そのための取組を強化することが必要」(P23)との記載もある。未利用熱の活用は熱の効率的利用に大きく寄与でき、連携省エネの一環として制度化された重要な対策であることから、産業部門の省エネルギー政策として具体的に記載すべきものである。

該当箇所

「(4)需要家に対する多様な選択肢の提供による・・・エネルギー需給構造の実現」(P15)
・・・また、地産地消型の再生可能エネルギーの普及や蓄電池等の技術革新、・・・
「③調整力の確保とその脱炭素化に向けた取組」(P44)
・・・また、定置用蓄電池やEVなどの需要家側に設置される分散型エネルギーリソース・・・

意 見

以下の通り、修正いただきたい。

(P15)
修正前:地産地消型の再生可能エネルギーの普及や蓄電池等の技術革新
修正後:地産地消型の再生可能エネルギー、コージェネレーションの普及や蓄電池等の技術革新

(P44)

修正前:定置用蓄電池やEVなどの需要家側に設置される分散型エネルギーリソース

修正後:定置用蓄電池、コージェネレーションやEVなどの需要家側に設置される分散型エネルギーリソース

理 由

P71において、分散型エネルギーについて、「再生可能エネルギーやコージェネレーション、蓄電池システムなどによる分散型エネルギーシステム」と表記されており、分散型エネルギーシステムの定義を明確にする意味で同様の表現としていただきたい。

該当箇所

「(3)効率的な熱供給の推進」(P68)
・・・コージェネレーションの利用や廃熱のカスケード利用促進を行なうことが重要である。

意 見

「コージェネレーションや製造プロセス等から発生する廃熱のカスケード利用を促進することが重要である。」との表記を検討いただきたい。

理 由

コージェネレーションは、熱エネルギーを温度レベルの順に発電、蒸気、温水により活用するものであり、典型的な廃熱のカスケード利用システムのため、廃熱のカスケード利用促進との併記は適切ではないと考える。
資源エネルギー庁のWEBサイトの「コジェネなどを通じて熱を効率的に利用する」においても、「カスケード利用とは、高温域の熱を、発電などの高温を必要とする用途に使い、そこから生じた排熱を蒸気や温水として利用するといったように、熱エネルギーの温度帯に応じてさまざまな用途に段階的に活用する方法です。」(※)として、コージェネレーションについても熱をカスケード利用するシステムとして紹介されている。

以下のWEBサイトより
資源エネルギー庁「2018-03-20 実はCO2削減によく効く、熱エネルギーの低炭素化 コジェネなどを通じて熱を効率的に利用する」
http://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/netsu.html

以 上