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現地調査結果導入実績

東北地方 現地調査

全体状況のまとめ

コージェネ

① 震災発生時点において、稼働していたコージェネはほとんどが運転を継続

② 一部、周辺機器のトラブルによる停止や燃料確保への不安から自主的に停止したケースあり

非 発

① 震災時、ほとんどが、自動起動し、商用系統が復電するまでの間、運転を継続

② 一部、自動起動に失敗したケースもあるが、手動で起動

燃 料

① A重油が多く、3~4日分は備蓄。復電時期の情報がなく、燃料補給の依頼を行うもいつ来るかわからなかったが、調達ができて、運転を継続できた

② 都市ガスは、工場が津波で被災し送ガスが困難となったが、中圧ラインは供給を継続

① 一部、受水槽等で漏水があったものの、自家発運転に支障なし

実例により判明した課題・改善策案

制御系

① 起動に失敗、放置したら制御用バッテリーが放電し、電圧が低下

② バッテリー回路に非発からの充電回路が組んでなく、充電できず 
→ バッテリー充電回路の確立、補助バッテリー等の準備

③ 停電による自立運転移行時に、保護リレーの設定値が適切でなく、CGSが停止
→ 保護リレー設定値の見直し

冷却水系

自家発が停止する例はなかったが以下の事例あり

① CGS冷却用熱交換機から漏水(熱交への冷却水配管の振れ止めが不十分)

② 冷却水の高置水槽のつなぎ目から漏水

③ 建物が免震構造の場合で、免震部分への配管が地震の振れを吸収できず損傷
(非常用の井水配管で、常用の市水は問題なし)
→ 配管の振れ止め対策、空冷式ラジエータの検討等

運用上の課題

○ 電気主任技術者を外部委託している場合で、震災時に連絡がつかなかったり、現地に来れないケースがある
→ 電気主任技術者との連絡体制の整備、内部者への電気関連技術知識習得の推進

電力ラインの課題

① 自立運転時、三相不平衡により発電機出力の全部を負荷として乗せられない制限あり
→ 設計の精緻化、実際に自立運転を行って検証

② 復電時、トランスに励磁突入電流が流れ、発電機が停止するケースがある
→ 突入を考慮した起動方法を行う

事 例

  • A病院
  • B病院
  • C病院
  • D病院

A病院

概 要

住所 宮城県仙台市
敷地面積 約6万㎡
建物 地上6階地下1階 耐震構造
建築面積 約22千㎡
延床面積 約76千㎡
病床数 約700床
外来患者数 約1千人/日(震災直後は250人位)
A病院

震災時の状況

  • 井水関係の受水槽、高置水槽がほぼ全て破損。市水系統は受水槽含めほとんど被害なし
  • 会議室の壁が崩れた。スプリンクラーがいたる所で水を噴いた
  • 病院が避難所になっていた(2日間位)
  • 再来は制限したが、外来は制限せず

自家発概要

コージェネ

形式 ガスエンジン
燃料 都市ガス(中圧)
発電機容量 500kW×2機、系統連系
運転時間 平日7:30~21:30 月~土運転
廃熱利用 給湯・冷房・暖房等
A病院

非常用発電機

形式 ガスタービン
燃料 A重油
発電機容量 500kW×1機
冷却方式 空冷
A病院

自家発等の状況

CGS 非 発 商用系統 燃 料
  • 3/11、2台運転中
    →地震発生・停電後運転継続 →遮断器は自動で投入
  • 復電まで運転継続
  • 3/28から通常運転
  • 停電後に自動起動
  • 復電まで運転継続
  • 3/11地震発生・停電
  • 3/14朝0時頃に復電
  • 約57時間停電
  • 都市ガスは、工場が津波のために送ガス困難となったが、中圧ラインは供給を継続
  • A重油タンク25kℓ×2
  • 3/11に燃料調達を要請、3/12の21時頃に新潟よりローリーで20kℓ調達

その他・課題等

  • 発電装置トラブル時対応マニュアル設定済み。訓練は定期的な点検で実施
  • CGSのプレート熱交からジャケット水が漏洩。地震時に配管が大きく揺れたため、配管固定方法が問題と推定

B病院

概 要

住所 宮城県
敷地面積 約4万㎡
建物 地上5階地下1階 免震構造
建築面積 約9,400㎡
延床面積 約22千㎡
病床数 300床
外来患者数 380人/日(震災直後は260人位)
B病院

震災時の状況

  • 建物が免震構造となっており、建物・設備の被害は殆どなかった
  • 発電機室の吸排気管の吊りボルトが外れた程度
  • コージェネ建屋は免震構造にはなっていないが被害なし
  • 周辺の病院等でも機能が失われるような大きな被害はなかった

自家発概要

コージェネ

形式 ディーゼルエンジン
燃料 A重油
発電機容量 400kW×2機、系統連系
運転時間 朝から夕方まで
負荷によって変動 交互運転
廃熱利用 給湯、蒸気需要
B病院

非常用発電機

形式 ディーゼルエンジン
燃料 A重油
発電機容量 500kW×1機
冷却方式 空冷
B病院

自家発等の状況

CGS 非 発 商用系統 燃 料
  • 3/11運転中→地震発生後運転継続
  • →節電により負荷がないため自動停止
  • 3/12朝から手動停止
    (燃料残量を勘案)
  • 3/14PMから運転再開
    (燃料調達に目途)
  • 地震発生・停電で起動
  • 地震後復電まで稼働
  • 3/11地震発生・停電
  • 3/14夜に復電
  • 75時間以上停電
  • A重油タンク30kℓ×2基
  • 3/12ローリー供給
  • 3/14,15に補給(14日4kℓ、15日14kℓ)
  • 3月末残量9kℓ
    (3日分)
  • 3月末燃料確保
    (20kℓ)

その他・課題等

  • 災害医療マニュアルを整備済み。訓練は点検等で実施
  • ボイラは感震器で停止。状況確認後手動で運転再開
  • ガソリンが入手困難で職員の移動手段に困った → 病院に寝泊まり等を実施

C病院

概 要

住所 宮城県仙台市
敷地面積 約6万㎡
建物 地上8階地下2階等
建築面積 約8千㎡
延床面積 約49千㎡
病床数 約550床
外来患者数 約1千人/日(震災直後は600数十人位)
C病院

震災時の状況

  • 震災発生直後は災害対応(緊急対応)を優先
  • 設備的に大きな被害はなかったが、建物にヒビが入ったり、タイルの脱落あり
  • 手術室用の空調機械室の空調用冷温水配管が損傷し、漏水
  • 近隣の被難所は停電していたが、当院は照明がつき暖房も効いていたので、多くの人が避難してきた

自家発概要

コージェネ

形式 ディーゼルエンジン
燃料 A重油
発電機容量 400kW×2機、系統連系
運転時間 平日8:00~17:00 土日は停止
ピークカット運転
廃熱利用 給湯(設計では冷房・暖房にも利用)
コージェネ

非常用発電機

形式 ガスタービン
燃料 A重油
発電機容量 800kW×1機
冷却方式 空冷
非常用発電機

自家発等の状況

CGS 非 発 商用系統 燃 料
  • 3/11停止中 →地震発生、停電により起動 →遮断器を投入せず
  • 負荷的には1台で十分まかなえる
  • 地震発生・停電後に自動起動
  • 復電まで一晩運転継続
  • 3/11地震発生・停電
  • 3/12朝6時に復電
  • 約15時間停電
  • A重油タンク50kℓ×2基
  • 地震発生時30kℓ備蓄
  • 地震発生直後に調達を要請し、備蓄を50kℓに増加

その他・課題等

  • 防災マニュアル作成済み。訓練は停電点検で実施
  • 竣工当時は井水を冷却系統に使用
    しかし、シリカ分が多く熱交が詰まりエンジンを停止しての清掃が必要だったので市水に切替え
  • 地震時は市水が止まり3/12の19時に復帰。その間は高架水槽の水を使用
  • CGSは水冷だが、新しく設計の場合は空冷式も検討したい

D病院

概 要

住所 宮城県内の総合病院 敷地面積 約6万㎡
建物 地上3階地下1階 免震構造 建築面積 約16千㎡
延床面積 約26千㎡ 病床数 300床

震災時の状況

  • 建物が免震構造のため、ゆっくりと揺れたのみ。建物被害は全くなし
  • 震災直後、患者数の増加はほとんどなかった
  • 給食にLPガスを使用しており、普通にできたので良かった

自家発概要

コージェネ

形式 ディーゼルエンジン
燃料 A重油
発電機容量 320kW×1機、系統連系
運転時間 平日8:00~18:00 土日は停止
廃熱利用 給湯(お風呂が多い)
コージェネ

非常用発電機

形式 ガスタービン
燃料 A重油
発電機容量 600kW×1機
冷却方式 空冷
非常用発電機

自家発等の状況

CGS 非 発 商用系統 燃 料
  • 3/11運転中
    →地震発生後停止
  • 制御バッテリー切れとA重油確保が困難なため停止
  • 地震発生・停電後に自動起動したが失敗
  • 委託先の電気主任技術者にすぐ来てもらい立ち上げ実施
  • 3/14にバッテリー切れ →震災後、自己充電回路改善実施
  • 3/11地震発生・停電
  • 3/14午後4時頃に復電
  • 73時間停電
  • A重油タンク25kℓ×2基
  • 地震発生時27kℓ(3日分)備蓄
  • 3/13夕方、新潟からタンクローリーが来た
  • その後、市内で調達したがスラッジが多くフィルターの詰まり発生

その他・課題等

  • 緊急時マニュアルは作成済み。1回/月、非発起動訓練実施
  • 浄水場が近く断水なし
  • 井水は建築後に市水の断水対策として付けたが、免震構造の所へ接続しているエキスパンション部分の変位が大きく、配管が損傷